2025年06月20日

HEMA Driveline and Hydraulics

HEMA Driveline and Hydraulicsについて


  1. 概要

HEMA Driveline and Hydraulics(以下、HEMA)は、ドイツに本社を構える工業用部品およびシステムの製造会社であり、特にモバイル機械および工業用機械に使用される油圧コンポーネントとドライブライン技術の分野で国際的に高い評価を得ています。設立から数十年にわたり、品質と革新性を重視した製品設計で、農業機械、建設機械、林業機械、特殊車両、船舶産業など、多様な分野において信頼を築いてきました。

HEMAは、OEM(Original Equipment Manufacturer)との連携を通じて、顧客ニーズに適応したカスタムソリューションの提供を得意としており、エルゴノミクス、安全性、堅牢性を追求した設計思想が特徴的です。

  1. 主力製品群

HEMAの製品は大きく分けて以下の分野に分類されます。

(1) 油圧コンポーネント(Hydraulics

HEMAの油圧製品は、モバイルマシンにおける制御系統の中核を担います。主な製品には以下のようなものがあります。

  • 油圧シリンダー
    HEMAの油圧シリンダーは、耐久性と精度に優れ、過酷な使用環境でも長寿命を誇ります。多くの製品は顧客の要望に応じてカスタム設計が可能で、トラクター、ブルドーザー、フォークリフトなどに広く採用されています。
  • 方向制御バルブ
    オペレーターの入力に対してスムーズな動作を可能とする制御バルブは、シンプルな構造ながら高性能を実現しています。
  • コンパクトユニットおよび油圧ブロック
    機械に組み込みやすい小型油圧ユニットも得意分野で、省スペース設計と高効率運用を両立します。

(2) ドライブラインコンポーネント(Driveline Components

ドライブライン部門では、駆動系に必要な高度な機械部品を製造しています。とりわけ以下の製品が評価されています。

  • パワートランスミッション部品
    シャフト、ギア、カップリングなど、動力伝達に不可欠な部品群を、高精度な加工と熱処理技術で供給。
  • クラッチおよびブレーキシステム
    動作の正確性と信頼性を追求したクラッチ装置は、重機や農業機械のパフォーマンス向上に貢献。
  • ステアリングコンポーネント
    操舵システムの快適性と安全性を両立するパーツも、HEMAの得意分野のひとつです。
  1. 人間工学と安全性へのこだわり

HEMA製品の大きな特徴のひとつが「エルゴノミクス(人間工学)」への配慮です。とりわけオペレーター向けの制御ユニット、ジョイスティック、ペダルなどのインターフェース部品は、疲労軽減と直感的な操作性を重視して設計されています。

さらに、ヨーロッパを中心とした厳格な安全基準(CEマーキングやISO規格など)にも適合しており、リスクアセスメントや機能安全に関する対応も万全です。

  1. カスタマイズ対応とエンジニアリング力

HEMAの強みは、単なる部品供給にとどまらず、カスタマイズ対応に優れたエンジニアリングサービスにあります。顧客との初期段階からの密なコミュニケーションを通じて、機械設計に最適な油圧・駆動系構成を提案し、試作・テスト・量産までを一貫してサポートします。

また、シミュレーション技術やCAD/CAEシステムを駆使し、製品の信頼性と効率性を高めています。複雑な設計要件にも柔軟に対応し、ニーズに応じて一品物の製作も可能です。

  1. グローバル展開とサポート体制

HEMAはドイツの本社を中心に、ヨーロッパ各地、アジア、北米などに販売・サービス拠点を展開しており、世界各国の大手OEMとの取引実績を有しています。特にトラクター、建設機械、特殊車両メーカーとの関係は深く、国際的な納品・サポート体制が整っています。

また、アフターサービスや予防保守に関しても、スペアパーツ供給体制、技術トレーニング、現地メンテナンスなどを提供し、長期的な信頼関係を築いています。

  1. 持続可能性と品質保証

環境問題への配慮もHEMAの経営理念のひとつです。省エネ型の油圧ユニット、再生可能エネルギーを利用した製造プロセス、有害物質を排除した材料選定など、持続可能性に配慮した設計と生産を実践しています。

ISO 9001、ISO 14001、IATF 16949などの国際品質・環境マネジメントシステムも導入し、常に高い品質水準を維持。すべての製品は厳格な検査工程を経て市場に供給されます。

HEMA Driveline and Hydraulicsは、油圧およびドライブライン技術における世界的なリーダー企業として、技術革新・顧客対応・品質追求を柱にした製品開発を続けています。多様な機械分野での実績と、高度なカスタマイズ対応力により、業界内での確固たる地位を築いています。今後も、グローバル市場におけるニーズの変化に対応しながら、安全性・効率性・持続可能性を高次元で実現する製品群の開発が期待されます。


サプライチェーン情報


弊社の流通中古市場調査で、HEMA DRIVELINE AND HYDRAULICS製の

製品・部品は約 10,000種類確認されています。

互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドと種類数は確認できませんでした。


上記のサプライチェーン情報は2025年 06月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。



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2025年06月14日

SCHNEIDER ELECTRIC

シュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)とは

シュナイダーエレクトリック(Schneider Electric SE)は、フランスに本社を置くエネルギーマネジメントとオートメーションに特化したグローバル企業です。1836年に創業され、長い歴史の中で軍需産業から電力インフラ、そして現代ではスマートファクトリーやデジタルエネルギー管理へとビジネスの軸を大きく進化させてきました。現在は持続可能性(サステナビリティ)とデジタルトランスフォーメーションを掲げ、エネルギー効率の最適化と産業オートメーションの先端を担っています。

企業の概要

  • 正式名称Schneider Electric SE
  • 設立年1836
  • 本社所在地:フランス・ルーヴシエンヌ
  • 従業員数:約14万人以上(2024年時点)
  •  事業展開地域:世界100カ国以上
  • 上場市場:ユーロネクスト・パリ

主な事業領域

シュナイダーエレクトリックは、大きく分けて以下の4つの事業領域で製品とサービスを展開しています。

1. エネルギーマネジメント(Energy Management)

電力の供給から分配、制御、監視に至るまでのトータルソリューションを提供。住宅用から商業ビル、データセンター、産業施設まで多様な顧客ニーズに応えています。

代表的な製品:

  • スマートブレーカー、配電盤
  •  UPS(無停電電源装置)
  • 電力監視システム「EcoStruxure Power

2. 産業オートメーション(Industrial Automation

工場や生産ラインの自動化を支援するための制御装置やソフトウェアを提供。IoTと連携し、生産性や安全性、エネルギー効率の最適化を図ります。

代表的な製品:

  • プログラマブルロジックコントローラ(PLC
  • 産業用PCHMI(表示器)
  • モーションコントローラ、センサー、ドライブ装置

3. デジタルソリューション(EcoStruxure)

EcoStruxure(エコストラクチャ)」は、同社の統合IoTプラットフォームで、エッジコントロール、アナリティクス、クラウドサービスを結びつけた階層型アーキテクチャです。住宅からビル、工場、データセンター、インフラまで全方位をカバーします。

特徴:

  •  IoT対応のセンサーとエッジ制御
  • 機器データの収集・可視化・分析
  • クラウドベースの資産管理や予知保全

4. サステナビリティとコンサルティング

近年では、企業の脱炭素化や持続可能な経営を支援するためのコンサルティングサービスにも力を入れています。エネルギー消費分析、再生可能エネルギー導入支援、脱炭素ロードマップ策定などが含まれます。

主な強みと競争優位性

  1.  EcoStruxureによるデジタル基盤の確立
    シュナイダーは従来の製品ハードウェアだけでなく、ソフトウェアとクラウドを融合させたプラットフォーム戦略をとっています。これにより、ユーザーは設備の稼働状況、消費電力量、保守状態を一元管理できる点が強みです。
  2. グローバルな製品供給と現地対応
    世界中に拠点を持ちつつ、各地域のニーズに応じた製品やサポートを提供する「グローカル」戦略を展開。日本でもシュナイダーエレクトリックジャパンとして国内市場に最適化された製品を展開しています。
  3. サステナビリティの先駆者
    同社は自社のCO2排出ゼロを2040年までに達成する目標を掲げており、自社製品のライフサイクルでも環境負荷を可視化・削減。2021年には「世界で最も持続可能な企業」ランキングで1位に選ばれたこともあります。

日本市場における展開

日本では、以下のような分野でシュナイダー製品が広く使われています:

  • 製造業:三菱電機やオムロンと並ぶ制御機器メーカーとして存在感
  • データセンターAPCブランドのUPSや空調機器
  • スマートビル:エネルギーマネジメントとBEMS(ビルエネルギー管理システム)
  • 再生可能エネルギー:太陽光発電システムや蓄電ソリューション

また、他社ブランドとの**互換性(特にPLCHMI**も一定の評価があり、レガシーシステムとの統合・置き換え需要に対応しています。

企業文化と取り組み

シュナイダーエレクトリックは、「Life is On」という企業スローガンのもと、誰もがどこでもエネルギーを最大限活用できる社会の実現を目指しています。社内文化としても以下の点に注力:

  • ダイバーシティ&インクルージョン:ジェンダー平等や障害者雇用に積極的
  • フレックス制度や在宅勤務制度の整備
  • 従業員のESG意識の向上

社員の声を重視した組織文化づくりが、長期的な競争力の源泉となっています。

シュナイダーエレクトリックは、エネルギーとオートメーションを中核に据えた世界有数の企業です。産業の電化・デジタル化・脱炭素化が進む中で、その技術とソリューションは多くの企業・組織にとって不可欠な存在となっています。環境意識と先端技術の融合により、今後も持続可能な社会づくりの一翼を担う存在であり続けるでしょう。


1. “鉄鋼業からIT企業へ”という劇的転換

シュナイダーエレクトリックの原点は実は重工業・軍需産業でした。19世紀には鉄道部品や兵器、さらには鉄鋼業を手がけており、いわゆる「重厚長大」な企業でした。
ところが、1980年代以降、CEOアンリ・ラクロアのもとで急速な事業再編が始まりました。鉄鋼や造船などの重工部門を売却し、エネルギーと電気設備に集中。その後は電力、制御機器、デジタルオートメーションの分野にシフトし、今ではITと環境を融合したエネルギー企業というユニークな立ち位置に。

「フランスの製鉄会社が、マイクロソフトとエネルギー効率を競うようになるとは

誰が想像しただろう」と、当時はメディアにも驚きをもって報じられました。

2. EcoStruxureの名前の由来がちょっとダジャレ

シュナイダーのIoTプラットフォーム「EcoStruxure(エコストラクチャー)」は、"Ecological Structure"(エコな構造)と"IT Infrastructure"ITインフラ)のダブルミーニングです。
社内ではこの名前が出たとき、「ちょっとクサいけど覚えやすい」と評判になったとか。いまやこの名前は、ビジネスのコアブランドとしてグローバルに通じるようになっています。

3. 社内公募で“地球の裏側”に異動した社員の話

シュナイダーは国際的な人材流動を積極的に支援しており、社員が社内公募で海外に異動することが珍しくありません。日本のある若手社員が「製品開発よりも現地支援に興味がある」と希望を出したところ、数か月後にはアフリカ・ケニアのマイクログリッドプロジェクトに参加することに。

現地では村落にソーラー発電と蓄電池を導入し、昼でも夜でも照明やポンプが使えるように。「インフラが整えば、教育も経済も変わる」という現場の実感を得て、日本帰国後はエネルギーアクセス事業に関わるチームを立ち上げたそうです。

4. 自社ビルが“製品カタログ”そのもの

フランス本社や日本法人の一部オフィス(例:横浜オフィス)では、建物自体がシュナイダー製品のショールームとして機能しています。

  • 自動ブラインドと照明が連動する「スマートビルディング」
  • ビル全体のエネルギー使用をリアルタイムで可視化
  • 社員の座席すらAIが最適配置

来客者には「シュナイダーの製品って、生活とこんなに密接だったんだ」と印象付ける工夫がされています。

5. 電力会社や競合とも“あえて手を組む”スタンス

一見すると競合になりそうな電力会社や重電メーカーと積極的にアライアンスを組んでいるのもユニークな点です。特に再エネ・蓄電・分散電源の分野では、「シュナイダーだけで全てを担うのではなく、パートナーと共に価値をつくる」姿勢をとっています。

たとえば:

  • 日立やNECと連携したスマートシティプロジェクト
  • 三菱地所と組んだビルのエネルギーマネジメント

「競合というより“共創”の時代だ」と、同社の日本法人社長が語ったことも。


サプライチェーン情報


弊社の流通中古市場調査で、 SCHNEIDER ELECTRIC 製の製品・部品は約112,000 種類確認されています。

また互換・同等の製品・部品を供給している主な会社・ブランドと種類数は以下のとおりです。



ERIE CONTROLS                          117

TELEMECANIQUE                       4519

SQUARE D                       10824

MERLIN GERIN              1554

MODICON                                     1060

EBERLE                                         101

ANDOVER CONTROLS  103

TAC                                  163

APC                                  324

PELCO                              217

APRIL                               61

BERGER LAHR               213

VICONICS                       26

PROFACE                                       398

XYCOM                                         48

MAGNECRAFT               1241

SATCHWELL                   62

ELIWELL                                       46

ELAU AG                                       78

LAURITZ KNUDSEN                    14

RB DENISON                   26

CLIPSAL                                        34

INTELLIGENT MOTION SYSTEMS           34

SAREL                              34

HIMEL                             46

CSI CONTROL SYSTEM INC       57

MAGNECRAFT SIGMA  45

CONTROL MICROSYSTEMS       35

TRICONEX                      3

EUROTHERM CONTROLS           20

SYMAX                            249

LEXIUM                                         12

TOPAZ                              8

FELLER ENGINEERING 6

SERCK CONTROLS                      11

ASCO POWER TECHNOLOGIES 10

SERIPLEX                        12

MERTEN                                        3

HYDE PARK                    78

FEDERAL PIONEER                     96

MAGNECRAFT GRAYHILL         23

AEG                                  4

TOPAZ POWER               7

TELVENT                                       3

MITA                                3

CONZERV                                      14

POWER MEASUREMENT            2

INVENSYS                       4

BERGER POSITEC                        2


上記のサプライチェーン情報は202506月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。



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2025年06月05日

THK

THK株式会社について

1. 概要と企業理念

THK株式会社(THK Co., Ltd.)は、直動システムの分野で世界をリードする日本の機械部品メーカーです。社名「THK」は「Toughness(強さ)」「High Quality(高品質)」「Know-how(ノウハウ)」の頭文字から取られています。

1971年に創業された比較的新しい企業ながら、「直線運動案内部品(リニアモーションガイド、以下LMガイド)」を世界で初めて実用化したことで知られ、製造業、半導体、医療、自動車、ロボティクスなどあらゆる分野での基盤技術を提供しています。

同社は「革新と創造」を企業理念に掲げ、創業以来、常に世界初の製品を生み出して業界を牽引してきました。

2. 歴史と沿革

THK1971年に東京で設立されました。当時、工作機械や産業ロボットにおける「直線運動の精度確保」は、技術者たちの大きな課題の一つでした。

従来は「すべり案内(スライド方式)」が主流でしたが、摩擦や磨耗、油の供給などに問題が多く、精密機械の高精度化・高速化の障害となっていました。

そこでTHK1972年、世界初の「LMガイド(Linear Motion Guide)」を開発し、ボールやローラーを用いてころがり案内を実現。これにより、摩擦抵抗が極めて小さく、耐久性と位置決め精度の高い直線運動が可能となり、製造業の効率と品質が飛躍的に向上したのです。

以降、THKはこの分野でのリーディングカンパニーとして、製品ラインナップを拡充し続けています。

3. 主な製品と技術

(1) LMガイド(リニアモーションガイド)

THKの代名詞ともいえる製品で、工作機械や産業用ロボット、半導体製造装置、医療機器などに欠かせない部品です。高精度・高剛性・低摩擦で、微細な位置決めや高速移動が求められる用途に最適です。

構造の特徴:

  • ボールまたはローラーが軌道上を転がることで、摩擦を極限まで抑える
  • 自動潤滑装置が組み込まれたモデルもあり、メンテナンスフリー
  • 多種多様なサイズ・荷重対応タイプが存在

(2) ボールねじ

回転運動を直線運動に変換する機械要素部品。高効率な運動伝達が可能で、NC工作機械や電動アクチュエーターなどに広く使用されます。

(3) クロスローラーリング

高精度な回転軸受。一般的なベアリングよりも回転精度が高く、光学機器、ロボットの関節、MRI装置などに使用されます。

(4) 電動アクチュエーター(ロボシリンダー)

LMガイドとボールねじを内蔵した電動駆動ユニット。エアシリンダーからの置き換えが進んでおり、自動化・省エネニーズの高まりとともに需要が拡大中です。

(5) Seismic Isolation Systems(免震システム)

建物の基礎部分に設置することで、地震の揺れを吸収・軽減する独自技術。THKの免震装置は、美術館、歴史的建造物、病院などの重要施設にも導入されています。

4. 産業別の活用事例

THKの製品は、次のような多様な業界で使用されています。

工作機械・自動機械

  • 高精度切削機械や組立ラインにおける位置決め機構
  • 自動車や航空機部品の加工装置に必須

半導体・液晶装置

  • ウェハ搬送、微細加工装置、検査装置などに利用
  • 超高精度・クリーンルーム対応の特殊仕様も提供

医療機器

  •  CTスキャナ、MRI、手術用ロボットなどの可動部
  • 滑らかで静粛な動作と耐久性が重要視される分野

ロボット産業

  • 多関節ロボット、協働ロボットの関節や移動部
  • 高速応答と正確な軌道制御を実現

5. グローバル展開

THK1990年代以降、グローバル戦略を本格化させ、欧米・アジアを中心に広く拠点を展開しています。現在では、アメリカ、ドイツ、中国、韓国、インドなどに生産・販売・サービス拠点を構え、売上の約6割以上を海外市場が占めています。

海外でも「精密直動機器のリーディングブランド」として認知されており、とくに産業自動化の進む欧州や北米では、品質の高さと納期対応力が強く評価されています。

6. 技術開発とDX

THKは製品の機能進化にとどまらず、IoTと融合したスマート部品の開発にも注力しています。たとえば「OMNIedge(オムニエッジ)」というシステムは、LMガイドやボールねじの稼働状態をセンサで監視し、予知保全を可能にするサービス。機械の故障を未然に防ぐ「デジタルメンテナンス」は、工場のスマート化に貢献します。

加えて、AIやクラウドと連携することで、現場の効率向上や人材不足への対応も図っており、製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。

7. 社会貢献とサステナビリティ

THKCSR活動にも積極的です。環境への配慮として、再生可能エネルギーの導入、省エネ設計、グリーン調達などを進めています。また、震災時の支援活動や、教育機関への技術提供、若手技術者の育成支援にも取り組んでいます。

特に建築分野での免震技術の普及は、社会インフラの安全性向上に直結するものであり、公共性の高い技術といえます。

8. 今後の展望

今後THKが注力するとみられる分野は以下の通りです:

  • 自動化・省人化FA(ファクトリーオートメーション)の需要増に伴い、電動アクチュエーターやIoT対応製品の需要が拡大
  •  EV・自動運転:自動車の電動化に対応した高精度直動部品、制振・振動制御システムの進化
  • 医療・ライフサイエンス:手術支援ロボットや検査機器向けの高信頼製品の供給
  • 都市防災・建築技術:免震・制震技術のさらなる普及と高性能化

THKは、「世界初のLMガイド」を生んだ技術革新企業として、直動システムに革命をもたらした存在です。現在も、FA、半導体、医療、ロボット、建築といった幅広い分野で、社会や産業の根幹を支えています。

ものづくりの現場を陰で支える「黒子的存在」でありながら、その技術の精密さと信頼性は、世界中のエンジニアたちにとって不可欠なものです。今後も、製品の高度化、デジタル融合、グローバル展開を通じて、THKは「動くすべてのものの未来」を支えていくでしょう。

エピソード①:美術館の命を救った「黒子の装置」

舞台:ある地方都市の美術館

2000年代初頭、THKは全国の重要文化財施設向けに免震装置を導入し始めていました。中でも特に注目されたのが、ある地方美術館に導入された「建物全体を浮かせる免震装置」です。

その美術館には、日本画の巨匠の貴重な作品や、重要文化財級の陶磁器が数多く展示されていました。あるとき大地震が発生し、市内の多くの建物が被害を受けたにもかかわらず、その美術館だけは展示物に傷ひとつなく、来館者や職員も無事だったのです。

震災後に現地を訪れたTHKのエンジニアに、美術館の館長がこう言ったそうです。

「あの地震の揺れが“来る”と分かった瞬間、真っ先に思い出したのが、床下にあるあなたたちの装置でした。あれがある限り、うちは大丈夫だと心の中で思えたんです。」

技術者たちは部品屋の誇りを持って製品を作っていたが、この一言で「命や文化を守る力が技術にある」と実感し、目頭が熱くなったとのことです。

エピソード②:社長が泣いた「一通のファンレター」

舞台:THK製品が使われた手術ロボット

THKLMガイドは、近年では医療機器にも多く使われています。ある医療機器メーカーが開発した手術支援ロボットに、THKの超精密LMガイドが採用されました。医師の細かい手の動きを忠実に再現するためには、ほんの数ミクロン単位での滑らかな動きが必要であり、THKの技術がその要件を満たしていたのです。

この手術ロボットによって命を救われた患者の家族から、なんとTHK本社宛に手書きの手紙が届きました。

「あなたたちの部品が、あの機械に入っていなければ、私の家族はもういなかったかもしれません。本当にありがとうございます。」

この手紙は社内で回覧され、当時の社長が涙ぐんだというエピソードが語り継がれています。

技術者の多くは、最終製品に自社の部品が「名前も出ずに」組み込まれていることを当然だと思っていますが、誰かの命や人生に関わっているという事実に改めて気づかされるきっかけになったそうです。

THKの製品は、表舞台に立つものではありません。ですが、その陰の力がなければ多くの機械は動かず、命を守ることも、文化を残すこともできません。

「動きを支える」「揺れを止める」という一見地味な技術が、世界の安全や豊かさに直結している——それがTHKの真のすごさであり、技術者たちの静かな誇りなのです。



サプライチェーン情報


弊社の流通中古市場調査で、  THK製の製品・部品は約 1700種類確認されています。

また互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドは確認されませんでした。



上記のサプライチェーン情報は2024 07月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。



ラベル:THK
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