2025年05月16日

ABB Asea Brown Boveri

ABBについて

ABBAsea Brown Boveri Ltd)は、スイス・チューリッヒに本社を置く多国籍企業であり、主に電気機器、オートメーション技術、ロボティクス、電力ネットワーク関連の製品とサービスを提供しています。世界的な規模で事業を展開しており、産業・インフラ分野におけるデジタル化と省エネルギーを推進する技術で高く評価されています。ABBは、産業の自動化と持続可能な社会の実現を目指すイノベーション企業として、グローバル市場で存在感を発揮しています。

歴史的背景

ABBは、1988年にスウェーデンのASEAAllmänna Svenska Elektriska Aktiebolaget)とスイスのBBCBrown, Boveri & Cie)の合併によって誕生しました。両社ともに19世紀後半に創業された老舗企業であり、電力機器や発電技術の開発で長い歴史を持っていました。

合併後のABBは、欧州を中心にアジア、アメリカなどにも展開を広げ、グローバル企業としての地位を確立しました。特に1990年代から2000年代にかけては、送配電システムや工場自動化、変電所設備などの分野で大きく事業を拡大しました。

主な事業分野

ABBの事業は以下の4つの主要セグメントに分けられます。

  1. エレクトリフィケーション(Electrification

   ・住宅、商業、産業用の電気配電機器や制御製品を提供。

   ・スマートビルディングやエネルギーマネジメントシステムにも力を入れており、持続可能な都市づくりに貢献している。

  1. モーション(Motion

    1. モーター、ドライブ、発電機などの製品を提供。
    2. 高効率な駆動システムやエネルギー節約技術を通じて、製造業などの分野に省エネと生産性向上を実現。

3. プロセスオートメーション(Process Automation

    1.  化学、石油・ガス、電力、鉱業などのプロセス産業向けに、自動化ソリューションや制御システムを提供。
    2.  プラント全体の最適化を図るためのソフトウェアやデジタルツイン技術も積極的に導入。

4. ロボティクス&ディスクリートオートメーション(Robotics & Discrete Automation

    1.  製造ラインにおける産業用ロボットや自動化機器を展開。
    2.  特に自動車、電子機器、食品産業での応用が進んでいる。

デジタル化とサステナビリティへの取り組み

ABBは、産業のデジタル化と脱炭素化に注力しており、IoT(モノのインターネット)やAI、クラウドベースの制御技術などを積極的に導入しています。特に、「ABB Ability™」という統合プラットフォームは、機器やシステムから得られるデータをリアルタイムで分析し、効率的な運用と保守を支援します。

また、再生可能エネルギーの導入支援や電動化技術(例:EV充電ステーション)など、環境に配慮した技術開発にも力を入れており、国連のSDGs(持続可能な開発目標)にも積極的に貢献しています。

グローバル展開と日本市場での展開

ABBは世界100カ国以上でビジネスを展開しており、従業員数は約10万人にのぼります。アジア市場にも強い関心を持ち、特に中国、インド、日本における展開を強化しています。

日本ではABB株式会社として活動しており、工場オートメーション、ロボティクス、変電設備などを中心に、国内大手メーカーやインフラ企業との連携を行っています。また、日本国内に技術センターやトレーニングセンターを構えており、現地ニーズに合った製品とサービスを提供しています。

最新の動向

近年では、ABBは電気自動車(EV)関連事業に注力しており、急速充電器の開発・提供を通じて、グローバルなEVインフラの整備に貢献しています。また、データセンターや再生可能エネルギー関連の需要拡大に対応し、持続可能な社会の実現を目指しています。

一方で、企業の再構築も進めており、2020年には送電・配電部門の一部を日立製作所に売却しました。これにより、より自動化やデジタル技術に集中した企業体制へと移行しています。

まとめ

ABB130年以上にわたり、世界中の産業の発展を支えてきた技術企業です。その活動の根幹には「人々の生活をよりスマートで持続可能にする」という明確なビジョンがあります。今後もグローバルな課題であるエネルギー効率、環境問題、労働力不足といった課題に対し、革新的な技術で挑み続けることが期待されています。

エピソード1 ロボットが絵を描く!? ABBとレオナルド・ダ・ヴィンチのコラボ

ABBが開発した産業用ロボット「YuMi(ユーミー)」は、人間と協働できる協働ロボット(コラボレーティブ・ロボット)として有名ですが、このYuMiが、なんと「画家」としてデビューしたことがあります。

2019年、イタリア・ローマで開催されたイベントにて、YuMiがレオナルド・ダ・ヴィンチの肖像画を手書きで再現するというパフォーマンスを披露しました。ダ・ヴィンチ没後500年を記念したイベントで、歴史的な芸術と最先端の工学技術が融合するという、ユニークな試みだったのです。

このときYuMiは、人間の描画データをもとに、まるでアーティストのように慎重に筆を運び、非常に緻密な筆致で肖像画を仕上げました。観客からは「魂があるように見える」「まるで生きている手のよう」といった声も上がったそうです。

このエピソードは、ABBが単に産業機械を作っているだけでなく、「ロボットが人間の創造性に寄り添う未来」に向けたビジョンを持っていることを示す象徴的な出来事でもあります。



サプライチェーン情報


弊社の流通中古市場調査で、ABB製品・部品は約28,000種類確認されています。

また互換・同等の製品・部品を供給している主な会社は以下のとおりです。

ACCURAY

ENTRELEC

BBC METRAWATT

BALDOR RELIANCE

STROMBERG

HARTMANN & BRAUN

KENT TAYLOR

SSAC

BAILEY CONTROLS

JOKAB SAFETY

ABB ROBOTICS

ALFA LAVAL AUTOMATION

BALDOR DODGE

DODGE

SATT CONTROL

FISCHER & PORTER

PARAMETRICS

RELIANCE ELECTRIC


上記のサプライチェーン情報は202505月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。



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